2013年7月21日日曜日

アウディの輝きは本物か?


  現代の自動車産業をリードするフォルクスワーゲン・グループ。そのイメージ戦略の尖兵として、世界へ新しいデザインとクルマ作りを訴えるポルシェとアウディの魅力は、いくら輸入車に対して否定的な反応の人でも認めざるを得ない部分が多い。ドイツではすでにアウディがあのBMWを追い越している。さらに拡販を続けていてやがてはMBをも追い越してプレミアムブランドの最大勢力になるのも時間の問題だろう。

  先日、仕事の後に成田空港に連れを迎えに行った時のこと、首都高で前を走るアウディTTが、日本製の商用車を次々と煽って走行車線に弾き出しながら進んでいた。首都高のタイトなカーブを旋回するのも余裕な様で、運転していて楽しい様子が後ろを走っていても伝わってくる。スペシャリティカーらしくリアのデザインもとても秀逸でその後ろ姿はとても美しい。ベースグレードのスペックはゴルフGTIと同じのようだが、アウトバーンでの250km/h走行を想定したGTIをさらに軽量化してスポーツ性能を高めているだけあって、日本の高速道路では絶対的な王者の走りだ。

  TTに限らず高速を走るアウディ車は、そのスタイリッシュなデザインもさることながら、直進安定性を重視して購入するユーザーも多いようで、堂々と法定速度を無視して突っ走っていくクルマが多い印象だ。ただその走りっぷりはBMW116をヨタラせながら暴走させるのとはワケが違う。見ていてもその安定感の違いは歴然で、ドイツでの販売が好調なのも頷ける。

  高速で後ろに付いて走っているとよくわかるが、MBBMW、レクサスなどのFR車は前方のクルマがいなくなりさらなる加速に入るときに、リアのサスが伸縮してトラクションを確保してからスピードが出る仕組みになっている。いわゆるあの「沈み込む」というヤツだ。一方でスバルやアウディなどの4WD車は、この動作なくワンテンポ早く加速が始まる。後ろをボケっと追従しているとあっという間に置いて行かれる。FR車は動きだしのスムーズさに欠けるだけでなく、加速時にフロントの荷重が抜けるので、通常よりもアンダー傾向になりやすいという欠点もある。確かにコーナー出口で加速するFR車の鼻先がピタっと決まらないでフラフラしているのをよく見かける。

  日本の評論家筋はやはりトヨタや日産とのパイプが必要ということもあり、この事を騒ぎ立ててFR車を批判するような記事は絶対に書かないようだ。10年以上前なら、駆動輪の関係で電動パワーステア(EPS)に頼らなければならないFF&4WD車と比べてFR車が使っていた油圧ステアのハンドリングが良いとされていた。しかし今やMBBMWが先を争って洗練が進んだEPSFR車に使う時代になった。そして今やMBBMWも熱心にFF&AWD車の設計に取り組んでいる。日本でも高速料金の値下げ&割引が相次ぎ、気軽に利用できる時代に突入した。いよいよ「アウディの時代」になって行きそうな感じだ。