2013年12月22日日曜日

アウディは「RS」が基本のブランドになってしまうのかな?

  アウディのRSシリーズが次々と発売されて、だいぶ賑やかになってきました。それでもまだまだ街中で見かけることはほとんどといっていいほどないですね。AMGの4maticと互角の加速性能とアルピナ並みの最高巡航速度を併せ持つオールマイティな性能って、もう日本メーカーが完全に手が届かない領域で戦っていてなかなか感覚的に理解できない部分もありますが・・・。

  現行のレクサスIS-Fではもはや完全に蚊帳の外ですね。もちろんGSと新型ISで使っているシャシーは、ドイツ車のハイパフォーマンス路線に対抗する為なんでしょうから、来年に出るらしいGS-F、RC-F、新型IS-Fには期待したいですが・・・。それよりも前にどうやらAMG、M、アルピナの「改造車御三家」にアウディが下克上を仕掛けることになりそうです。

  もちろんVWグループにはポルシェ、ランボルギーニ、ブガティといった超一流スポーツメーカーがありますが、アウディは堂々とエンジンをフロントにマウントしたクルマで勝負してきました。ちょっと前にメルセデスとBMWが不甲斐ないばっかりに、ドイツ車のアイデンティティと言える高性能セダン&クーペのジャンルで、日本車にセンターポジションを奪われるという失態を冒しました。もちろんポルシェもフロントミッドシップのクルマに遅れをとるという決して拭えない汚点を付けられましたが・・・。

  いずれにせよ、水野氏による大いなる野望とそれを強烈に後押しするフランスメーカーが持つドイツ車への強烈なコンプレックスが力となってドイツメーカーに襲いかかりました。この「ドイツ車神話の崩壊」がほんの5年前でしたが、そこからドイツ3大グループはそれぞれに臥薪嘗胆したようで、GT-Rに匹敵するあるいはそれ以上にアドバンテージがあるパッケージのクルマが当たり前のように出てくるようになりました。

  GT-Rよりべらぼうに高いくせに、遅いクルマなんて同じクラスでは決して認められないという前提で、最近のドイツメーカーは高性能車を作ってきているように思います。ただ日産の技術の集大成で作られたGT-Rは、すでにV6ツインTのフロントエンジン車としての性能を極限まで追求しているので、同じ設計ではとりあえず勝負にならないかもしれません。BMWのMとアルピナは6気筒ツインTでGT-Rに真正面から挑んでいてとても立派だと思います。エンジン屋のプライドといったところでしょうか。

  メルセデスAMGとアウディRSは専らV8頼みで、GT-Rを遥かに超える600psに耐えられる車体作りに経営資源を投下しているようです。メルセデスはエンジンの理想型と言われる12気筒エンジンまで持ち込んで、SLとCLをベースに究極のGTカーに一番近い位置のクルマを作っています。アウディはそれに十分対抗できるV8ツインTで560psという暴力的なパワーを誇るユニットを使った「RS6アバント」と「RS7SB」の2台を相次いで発売し、いよいよドイツ車の頂点に近いところまでやってきました。どちらも1500万円と決して安くはないのですが、0-100km/hが3秒台で最高速度が300km/hオーバーという性能を考えるとそれなりに説得力があります。ワゴン(RS6アバント)がこんなスピードで走ってしまう時代だそうです・・・。

  これからはアウディ=「世界最速のワゴン」といった究極のブランドへと「イメチェン」が意図的に行われていくでしょうし、もちろんその視線の先には中国や中東、アメリカの富裕層市場がはっきり見えているはずです。そうなってくるとVWブランド同じスペックしかないアウディのベースモデルって一体何なの?ということになってしまいますね・・・。もうすでにそう感じている人も大勢いるとは思いますが。



  ↓最初は「超高性能ドイツ車」特集ってなんじゃ?と思ってましたが、今年のルボランで一番面白かったです。
 

2013年9月12日木曜日

911包囲網が着々と・・・

  ポルシェ911というモデルの存在はやはり偉大です。ここ10年くらいに作られたスポーツカーのほとんどが、歴代911から有形無形の影響を受けています。さすがに911と比較されることは少ないはずのトヨタ86にしても、おそらく開発者の脳裏には空冷時代の軽快な993型のスタイルがあったのではないでしょうか。特にポルシェがサイズ的にハマっていた日本のスポーツカー開発者は誰しも911の影響からは逃れられないようです。

  ホンダの初代NSXは、911の呪縛を破るべく作られた意欲作でしたが、惜しまれつつも生産停止に追い込まれました。なぜ911は50年で7代に渡って作られ続けるのに、NSXは1代で姿を消す羽目になったのでしょうか? 日本のスポーツかーファンの多くは初代NSXを強く支持するでしょうが、このクルマは911の哲学の域まで辿り着けなかったということなのだと思います。個人的な意見としては、より正確に表現するならばNSXは911に勝利したけれども消えました。水冷化された996型は車体が大型化されそのサイズはまさにNSXのパクリでした。しかしNSXの設計をそのまま飲み込んで自らの養分にして911は理想のスタイルを手に入れました。

  日産GT-Rの開発陣もまたポルシェに対する「ただならぬ」想いを抱いていたことだと思います。マツダやホンダがポルシェから受けた屈辱?を日本メーカーを代表して濯ぐ時がやってきました。そして日産は予定通りポルシェのプライドを完膚なきまでに叩きのめしたはずでしたが、それでも911は今も「軽井沢に別荘買った時に乗るクルマNO.1」の座に付いたままです・・・。

  それでもポルシェと因縁があったおかげで、マツダRX-7は最終型で理想のフォルムを獲得しました。ホンダNSXの存在は伝説化され中古車価格では911に完勝しています。日産GT-Rが世界最速に近づけたのもやはり911の存在が不可欠でした。日本メーカーのスポーツカーを育てた当事者の1人がポルシェだったわけです。

  日本メーカーの強烈な追撃にフラフラになりながらも命脈を保ち、誕生から50年目を迎えてなお、新たなる挑戦者を待つ立場の911が「撃墜」される日が来るのでしょうか? 2代目NSXはどうやら911ではなく、バイパーやシェルビーを撃つために作られるらしいです。2代目GT-Rは発売されるのか不透明です。作り続けないと決して911には勝てないと思いますが・・・。

  王者991型911の地位を狙って、英国と米国からきた新鋭スポーツが日本で発売されます。1台はジャガーFタイプです。完全に911をベンチマークしたクルマとは言い切れないですが、価格と性能を考えると「仮想ライバル」は完全に911です。オープン2座のみのボディ設定であることと、車重と車幅ともに数字が一回り大きい点で911とは完全に同一視できないクルマですが、日本市場の頂点を目指すのにこれが何らかの支障になるのでしょうか? 特に「車幅」の日本における意義は年々変わってきています。ラグジュアリーカーに於いては、最大限広く取る方がスタイルに大きく寄与するので良いと考える風潮もあります。1810mmの911に対して、1925mmのFタイプの方が間違いなく優雅に見えます。

  ジャガーであるので内装の質感も非常に高いです。991型になってやっとプレミアムブランドの仲間入りができそうな水準まで上げてきた911とは、そもそもの出自が違うと言わんばかりの出来映えです。さらにジャガーはスポーツカーの伝統もポルシェに匹敵するほどに長い歴史を持っています。さらにV8搭載なので当然ではありますが「速い」です。いよいよ911の根幹を攻略しかねない素晴らしいスポーツカーができたようです。

  もう1台はC7コルベット・スティングレーです。こちらはまだ詳細な情報が入っていません。しかしポルシェとジャガーに並ぶほどの歴史を誇るスポーツカーブランドの老舗モデル「コルベット」なので、伝統と格式では全く劣っていません。さらにドイツのニュルブリックリンクで最速ラップを叩き出すなど、最上級グレードはポルシェGT3や日産GT-R相手に互角以上の性能があるのは間違いないです。ジャガーFタイプとコルベット。ポルシェと並ぶ歴史を誇るスポーツカーブランドがシンクロしてガチンコ対決に突入します。当然911だけでなくお互いに相手をもかなり意識しているはずです。

  ホンダも日産もポルシェもHVやEVを使った次世代スポーツカーの開発に余念がないこの時代に、なおV8のガソリンエンジンで走る新型車を発売するなんて、日本メーカーには完全に理解不能の世界かもしれません。それでも心からクルマを愛するメーカーにとっては当たり前のことなのだと思います。その心意気こそが世界の富裕層クルマファンを惹き付けるのでしょうか? ポルシェ・ジャガー・コルベットといった歴史あるブランドが、ガソリンエンジンのスーパースポーツの存在を守り続ける姿勢は素晴らしいと思います。「3台のうちのどれかのオーナーになれるように頑張ろう」と思わせてくれるほど熱い熱いスポーツカーがまだ作られていることは幸せなことですね。

 

2013年8月30日金曜日

アルファ4C登場でケイマンの一人勝ちも終焉?

  2002年のRX-7、シルビア生産中止によって日本市場ではスポーツカーがトーンダウンし、NSXも生産中止に追い込まれた。以後発売されるスポーツカーはロードスターを除くと、北米や欧州をメインターゲットにした平坦なハイウェイ向けばかりになった。そんな日本市場に取り残されたスポーツカーユーザーの現実的な選択肢は2005年に発売されたボクスターとケイマンの2台のポルシェ車がその市場をさらった。2006年のMR-Sの生産終了によりトヨタのラインナップからスポーツカーが無くなり、国産はマツダがRX-8とロードスターを残すのみとなった。

  バブル以降、誰でもお手軽に輸入車に乗れる時代になったこともあり、日本のクルマ文化は完全に道を誤ってしまった。200万円台で素晴らしい国産ピュアスポーツが売られているのに、600万円以上するのに車重が有り過ぎる輸入車の「似非」スポーツカー(SLKやZ4)の方が売れてしまった。モノの価値の解らない戦後生まれの中高年が無様に闊歩する「暗黒時代」に至って若者はクルマから目を背けるようになってしまった。クルマ買う世代のほとんどが無恥で無知(バカ)なのだから、クルマを作る側も混迷を極めた。モリゾー社長も公言して止まない2000年代の「黒歴史」が形成された。

  そんな腐りきった時代でも決してブレずにクルマを作って来たのが、ポルシェでありスバルでありマツダだったが、当然ながら「バカ=ジェネレーション」の2000年代は3社とも苦境に喘いだ。この年代の日本市場でひと際存在感を示したのが、改革前のトヨタでありVWでありレクサスとドイツプレミアム3ブランドだった。汚い言葉で罵るなら、クルマの本質なんてどうでもいいからバカを焚き付けることだけに全力が尽くされた時代だった。

  これらのバカ=ジェネ派ブランドは一つの時代の終焉に当たって岐路に立たされている。トヨタとレクサスは社長以下「バカ=ジェネ」脱却宣言とともに新たな展開を見せつつある。BMWは長い長いトンネルの出口がまだ見えないようだ。メルセデスとVWは新たな虚構として「新バカ=ジェネ」を日本に根付かせようとしている。しかし日本人のユーザーは安易には近づかなくなった。そして新たにメルセデスやVWに立ちはだかっているのが、世界的ブランドへと脱皮しつつあるスバルとマツダだったりする。そしてそれに「バカ=ジェネ」での敗退組のポルシェ・ホンダ・アルファロメオが後に続く。

  2010年代になって、果たしてクルマ作りが有るべき姿に戻ったか?と言われればまだまだだと思う。しかし消費者の嗜好は目に見えて変わってきている。もはやベンツのマークの数字を代えてまで高級車アピールをすることに大して意味はなくなった。クルマで金持ちであることを必死で示そうとするのは貧乏人のやることだと思われている。大学生がバイトを頑張れば中古のドイツ車を所有することなど難しいことではない。だけどもそんなモノにお金を使う若者はほとんど居ない。街中で150万とか値札が付いているメルセデスやBMWを所有することは今日においては何の意味もないし、少なくとも東京や横浜ではナンパの道具にもならないのが現実だ。

  150万円あったら、ポルシェボクスターを買うという選択はあるかもしれない。いつでも壮快に夜の峠を登って夜景を見に行けるということは、私の価値観では人生を豊かにしてくれる要素だ。日本の山岳道路を自由自在に駆け抜けられるクルマ、つまり「峠スポーツ」「峠セダン」「峠ワゴン」「峠ホットハッチ」としての適正の高さこそが、日本で価値のあるクルマだと思う。国道246号線を走り厚木で東名に乗り、わずか2時間半で名古屋に付く。さらに1時間足らずで伊勢まで行ける。その先にある志摩半島パールラインを颯爽と駆け抜け、リアス式海岸沿いの峠道を幾つか超えて尾鷲や熊野へ至る。登坂車線を行く大型トラックを次々とかわしていく。海に近い3桁国道を進めば行き違いも困難な驚きの酷道だが抜群の景色だ。日本の津々浦々はこんな道路事情が待ち受けている。ただ信号がほとんど無いので、クルマさえ間違えなければ都内よりもずっと快適だ。

  ポルシェがどれほど日本人のことを考えてクルマを作ったのか知らないが、バブルの頃から支持されてきたスタンスを変えずに、日本に合ったスポーツカーを作り続けた結果が、今のボクスターやケイマンの人気へとつながった。RX-7やNSXといった好敵手を生んだ日本のクルマ文化こそがポルシェにとってはかなり相思相愛の関係なのかもしれない。

  ポルシェの独占的な市場を打破すべく日本にやってくる挑戦者がいる。やはり2000年代の負け組だったアルファロメオは周到な根回しをしつつ、日本市場に打倒ポルシェを掲げて乗り込んでくるようだ。ボクスターとケイマンをさらに軽量化して極端な設計へと落とし込んだようなアルファロメオの新型ライトウエイトスポーツ「4C」がいよいよ発売される。GT-RやフェアレディZに新型NSXと国産のスポーツカーが北米基準で高出力で重量化する中で、4Cはケイマンをベンチマークするとともに日本を視野に入れた設計になっている。日本で走りやすいクルマが欧州から続々やってくるのは違和感があるが、4Cのような極端な設計のクルマならばケイマン・ボクスターとともに歓迎すべき輸入車と言える。

  根回しというのは、大々的なマツダとのパートナーシップを指す。マツダのスポーツカーメーカーとしての世界的評価から考えると、対等な関係の協業が成立している。スポーツカーブランド同士のコラボはまだまだ例が少ないが、すでに作られるクルマのコンセプトも決まっているので懐疑的になる必要はない。ただしアルファロメオとしては日本と北米のスポーツカー市場でシェアを拡大するための「戦略的」意味合いが大きいと邪推してしまう。VWがバックに付いているポルシェに対抗するために、中堅のフィアットとマツダが協業はもちろん理解できるが・・・。(協業で作られるのはロードスター)


  欧州も日本も排ガス規制が年々厳しくなり、開発できるクルマのバリエーションもそれに従って狭くなっている。各社ともに似たようなクルマを作り、経営の都合で車種やプラットホームの数を極限まで減らしている。その中でRRという稀な設計のクルマを3車種も展開するポルシェはとても目立つ存在だ。そんなことが唯一続けられるのは、ポルシェが考えてきたコンセプトが2013年の今もなお十分に通用するからであり、スポーツカーというジャンルであれば他のクルマに対して有利ですらあるという証明だ。そのポルシェに真っ向から対抗する、突然変異のスポーツカー「4C」もきちんとその良さが周知されれば、必ずや日本のクルマ文化に良いものをもたらしてくれるのではないかと思う。

  なにをダラダラと言っているのかというと、メルセデスSLKやBMWZ4はトヨタ86よりも高価なスポーツカーとして認知されているが、それはスポーツカーの性能ではなく内装の質感やデザインで優位に立っているに過ぎないということだ。トヨタ86を純粋にスポーツカーの性能だけで凌駕し、2〜3倍高い価格でもユーザーに支持されているのがポルシェとアルファ4Cだ。SLKやZ4が人気ならレクサスSC(1740kg)みたいなクルマが生まれるだろうし、ケイマンや4Cが人気ならホンダS2000(1250kg)のようなピュアスポーツが復活を遂げるだろう。どちらが日本人にとって幸せかは誰の目にも明らかですよね?
  
  追伸  :  レクサスSCは8気筒だったので、SLKやZ4と同類に括るのはやや心苦しいです。最近MT化されたSLKはさりげなく大規模な軽量化を図っていて、新型アテンザ20Sくらい(1440kg)まで軽くしてきました。いよいよ峠車として使えるレベルになったようです。ただベーシックなSLK200はまだまだ重く、まさに4人乗車のアテンザで峠を下るような恐怖感があります。当然登りも重いです・・・。
 

 ↓2代目ケイマンはデザインが良くなりました。4Cもかなり個性的なスタイリングです。
どちらもデザイン以上にスポーツカーとしての性能に魅力があるというのが素晴らしいです。

  

  

2013年8月8日木曜日

ポルシェがミドルセダンを作ったら・・・

  日本メーカーの新型ミドルセダンが次々と登場し、かなり盛り上がりを見せている。いよいよ日産スカイラインもFMCを迎えるが、どうも盛り上がりの割にはクルマの仕上がりは今一歩といった印象だ。大きく進化したのはレクサスISだが、先代の設計が完全に時代遅れのコンパクトサイズだったので、そのマイナスからライバルを追い越すほどの振り幅も価格を考えれば妥当といったところだ。やはりいずれのクルマもメルセデスとBMWという前提があり、その範疇を超える会心の一台とまでは至っていない。

  もしポルシェがこれらのライバルとなるミドルセダンを作ったら、どんなクルマができるのだろうかとたまに空想することがある。既に大型セダンのパナメーラがあるが、これはあくまでフォーマル・シーンで使われるフルサイズセダンであり、日本の道路事情などを考えると、とてもポルシェが誇るドライバーズカーのイメージとはほど遠くなってしまう。もちろんそれ以前に高価すぎて手が届かないというのもあるが・・・。

  車幅を911と同等(1800mm)程度に抑えて、全長も4700mm程度のミドルセダンを本気で作るなら、パナメーラとはまた違ったポルシェらしいスポーティなセダンが作れるのではないかということである。ちょうど新型レクサスISくらいのサイズで絶賛されているIS350Fスポーツを超えるクラス最高のスポーツ性をポルシェが追求したならば、ミドルセダンの可能性(需要)はまた再び急激に高まるのではないだろうか。

  ISにしてもスカイラインにしても最上級モデルは大排気量のV6エンジンを搭載しているので、300ps超という出力を考えてもやはり重量があり過ぎだと感じてしまう。ポルシェならばそんな設計にはしないだろう。スポーツカーに使っている3Lのフラット6のエンジンを積むことで軽量化を図りNAの265psで車重1500kg程度で抑えるくらいのことは朝飯前だろう。アウディA4で1510kgまで達成できているから、アウディTTなどに使われる軽量化技術を持ち込めば1400kgくらいまで可能だろう。

  もはやアウディだかポルシェだかよくわからないが、VWグループの力を総動員すればup!やゴルフといった世界戦略車だけでなく、日本車セダンの息の根を止める恐るべきクルマが作れてしまうことになる。もちろん日本のセダンの盛り上がりは必ずしもスポーツ志向ではなく、むしろHVの導入による良好な燃費が牽引している部分もあるが・・・。

  レクサスIS350とインフィニティQ50(新型スカイライン)が今後、北米で好調なセールスを記録するようなら、いよいよVWグループにとっての未開の大市場と言える北米に意欲的なモデルを投入することも十分に考えられる。2万ドル市場ではパサートがじわじわと浸透しているようだが、3万ドルオーバーの市場ではアウディクワトロが大苦戦している。このAWDセダンとはひと味違ったプレミアムスポーツセダンを投入するならば、当面のライバルはIS350とインフィニティQ50になる。ぜひこの2台を性能面でも価格面でも脅かす新型車の登場を期待して待ちたい。



 

2013年7月21日日曜日

アウディの輝きは本物か?


  現代の自動車産業をリードするフォルクスワーゲン・グループ。そのイメージ戦略の尖兵として、世界へ新しいデザインとクルマ作りを訴えるポルシェとアウディの魅力は、いくら輸入車に対して否定的な反応の人でも認めざるを得ない部分が多い。ドイツではすでにアウディがあのBMWを追い越している。さらに拡販を続けていてやがてはMBをも追い越してプレミアムブランドの最大勢力になるのも時間の問題だろう。

  先日、仕事の後に成田空港に連れを迎えに行った時のこと、首都高で前を走るアウディTTが、日本製の商用車を次々と煽って走行車線に弾き出しながら進んでいた。首都高のタイトなカーブを旋回するのも余裕な様で、運転していて楽しい様子が後ろを走っていても伝わってくる。スペシャリティカーらしくリアのデザインもとても秀逸でその後ろ姿はとても美しい。ベースグレードのスペックはゴルフGTIと同じのようだが、アウトバーンでの250km/h走行を想定したGTIをさらに軽量化してスポーツ性能を高めているだけあって、日本の高速道路では絶対的な王者の走りだ。

  TTに限らず高速を走るアウディ車は、そのスタイリッシュなデザインもさることながら、直進安定性を重視して購入するユーザーも多いようで、堂々と法定速度を無視して突っ走っていくクルマが多い印象だ。ただその走りっぷりはBMW116をヨタラせながら暴走させるのとはワケが違う。見ていてもその安定感の違いは歴然で、ドイツでの販売が好調なのも頷ける。

  高速で後ろに付いて走っているとよくわかるが、MBBMW、レクサスなどのFR車は前方のクルマがいなくなりさらなる加速に入るときに、リアのサスが伸縮してトラクションを確保してからスピードが出る仕組みになっている。いわゆるあの「沈み込む」というヤツだ。一方でスバルやアウディなどの4WD車は、この動作なくワンテンポ早く加速が始まる。後ろをボケっと追従しているとあっという間に置いて行かれる。FR車は動きだしのスムーズさに欠けるだけでなく、加速時にフロントの荷重が抜けるので、通常よりもアンダー傾向になりやすいという欠点もある。確かにコーナー出口で加速するFR車の鼻先がピタっと決まらないでフラフラしているのをよく見かける。

  日本の評論家筋はやはりトヨタや日産とのパイプが必要ということもあり、この事を騒ぎ立ててFR車を批判するような記事は絶対に書かないようだ。10年以上前なら、駆動輪の関係で電動パワーステア(EPS)に頼らなければならないFF&4WD車と比べてFR車が使っていた油圧ステアのハンドリングが良いとされていた。しかし今やMBBMWが先を争って洗練が進んだEPSFR車に使う時代になった。そして今やMBBMWも熱心にFF&AWD車の設計に取り組んでいる。日本でも高速料金の値下げ&割引が相次ぎ、気軽に利用できる時代に突入した。いよいよ「アウディの時代」になって行きそうな感じだ。