2014年2月18日火曜日

アウディというブランドの落とし所は意外とA3辺りなのかも。

  アウディというブランドは特殊だなといつも思います。次々とラインナップを増やしているけど、どのモデルにも一定数のお客が付いているというのはどうやら違うようです。A1、A3、A4の3車種については、簡単に言ってしまえば他のブランドのクルマと大差はないです。クルマの本質はプリウスをブラッシュアップしてプレミアム化したレクサスCTみたいなものと言えます。クルマの個性というより、アウディのパッケージにお金を払っているイメージが強いでしょうか。これはボトムグレードのメルセデス、BMW、レクサスも同じですが・・・。

  ここから上のクラスのクルマに関しては、プレミアムブランドのライバルを見据えてアウディが独自に設計されています。そのスペックはしばしばアウディ固有の数字へと変わり、ある点ではライバルを上回り、また別の点では遅れをとるといった「好みの差」が大きくなっていきます。一世を風靡したアウディのグリルを中心としたシンプルさで魅せるデザインは、とても普遍性が高くA1からA8まであらゆるボディの大きさにもかかわらず、全体のシルエットによく合っています。トヨタがクラウン専用のグリルすらまともに仕上げられないのに比べると、デザイナー・ブランドとしてのアウディの実力には疑いの余地はないです。

  アウディは先行するメルセデス、BMWを追って1990年代にラインナップを拡充しました。EセグやFセグのセダン製造から発展したMBやBMWと違って、アウディは現在のA4に連なるDセグセダンからラインナップを増やしていきました。ゆえに後から登場してきたA7やA8といったフルサイズ級のクルマは、どこか収まりが悪いと感じてしまいます。ホイールベースが伸びれば伸びるほど、FFベースのアウディはトレッドを拡げる必要があるので車幅が大きくなってしまいます。A7やA8のクラスになると、もはや車幅の自由が利かなくなっていて、クルマのコンセプトをまとめるのに相当苦心した痕が伺えます。

  フルサイズセダンとなると、やはりメルセデスやBMWが採用するFRの方が断然に設計の自由度が高く、アウディのようなFFベース車では十分に対抗できません。サイズが大きくなればなるほど、アウディにとっては不利になるという結論でいいと思います。よってアウディにとっての理想のサイズは、実際のところはA3からA6辺りまでの中型車になります。さらにその中で最良のものを選ぶとなると、結局はCセグのA3が一番支持を集めるでしょうか、Cセグならば間違いなくFFが正義です。そしてA4とA5のDセグもFRよりFFの範疇になっているといっていいでしょう。

  A6のEセグは最近になってマツダアテンザがFF車としてこのクラスに殴り込みを掛け健闘中であり、今後スバルレガシィもこのクラスに昇格し、この2台よりも高級路線のホンダレジェンドが新たに参入した段階ではFFがFRを圧倒する予感がします。このクラスならばFFベースでも車幅を1840~1880mm程度に抑えることができるので、日本の道路でもなんとか活用できます。そして車幅の問題さえクリアになれば、FF車が優位に立つ直進安定性などクルーズサルーンに必須な性能面でFR車を上回ります。

  今年はいよいよアウディA4がFMCを迎えるそうですが、まもなく登場する新型Cクラスの軽量化やエアサスといった「飛び道具」に負けない魅力を付加することができれば、このクラスの趨勢から見て優勢に立つ事ができるはずです。A4の最大の弱点は、最量販クラスという「大量生産モデル」然とした佇まいに、いまいち所有欲が出ないことです。もちろんそのためにA5といった派生モデルがあるのですが、「スポーティ」に仕上げないと「ハイクオリティ」を感じられないブランドイメージもアウディの特色でしょうか。

  まるで商用車といってもいいくらいのA4に対して、A3やA5は「スポーティ」さでブランディングがされています。これは同じFFブランドのマツダやスバルもこれまでは同じ傾向がありました。しかし両者は正統派セダンを作って正面突破を図るという方法を選択して、アテンザやレガシィB4で新しいブランド価値を切り開こうとしています。アウディもA4やA6を再びシーンのど真ん中に復帰させるような、デザイナーブランドとしての仕掛けをぜひ見せてほしいなと思います。


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