果たしてアウディがこのジャンルに参戦する「大義名分」があるのだろうか? そんな思いが頭を過ります・・・。実際はそれほどには売れていないのですが、日本ではもやたらと新型車リリースが多いジャンルが「Bセグスポーツ」で、VW・PSA・ルノーが日本の引退世代に必死のアピール合戦を繰り広げています。特にグローバルでの絶不調が伝えられるPSAの新型車投入ペースは相当なもので、Bセグ担当のプジョー208の高出力モデル「GTi(200ps)」や「XY(156ps)」は欧州価格よりもかなり安く設定されていて、トヨタが限定発売したヴィッツターボ(270万円)と比べても、断然にお買い得というあり得ない状況になっています。
プジョーは内外装も日本人好みに徹底的にリフォームした艶やかな「GTi」と「XY」で、先を行くVWポロの「GTI」と「ブルーGT」を追撃していて、価格とデザインにこだわった戦略が功を奏して互角以上の勝負に持ち込んできています。シートや剛性感、そして右ハンドルの作り方を評価すればポロを選択する訳ですけど、このクラスのクルマにとって重要なことはもっと他にあるというプジョーの言い分もよく分かります。「軽快さ」と「ワクワクするデザイン」を全く評価の対象にせず、PSA車をボロクソに言う沢村慎太朗という評論家の意見を無視すれば、ポロじゃなくて208を選びたい気分です。
しかし世界各地でPSA殲滅作戦を遂行しているVWが、ポロが苦戦している状況をそのまま放置しておくはずもなく、PSAを徹底マークするかのように208の「GTi」「XY」の発売に合わせて、ザ・ビートルターボ(211ps)を急遽日本にも持ち込んで「ドロ沼の消耗戦」になってますね。「日産パワー」を追加したルノーも「ルーテシア・ルノースポール」をこのマニアックでカオスな市場のど真ん中に投下してきました。
全般にレビューを見ていると、MT勢のプジョーが好評価で、DCT勢のVWとルノーは低めの評価が出ているのですが、女性ユーザーを惹き付けるのでDCTが有利という見方もあります。実際に買う側の大部分を占めるであろう引退世代は割とMTを好むし、年齢の高めの女性もまたMT愛好家が多いという説もあります。まあ分かれていることは素晴らしいことです。さらに言及するとPSAのATは未だに評判が悪いですので、MTのみの設定は極めて妥当な好判断。このクルマはBMWと共通の1.6Lターボを使います。棺桶ボディにATのみのBMWではパワー不足で良さがまったく分からないですが、1200kgの軽量ボディと6MTならば意味合いもだいぶ変わってきます。BMWミニと同じと言えば同じですけど。
そんなこんなで欧州の「大衆」ブランドがお手軽?な価格で競っている市場に、なんだかただならぬ「成金」の匂いを漂わせて、アウディS1が今年中にも日本に導入されそうです。CG大賞を受賞したA3がゴルフの影に隠れてまったく売れず、絶不調を極める日本のアウディを救うために急遽作りました!といった感があります。こういうクルマは質実剛健な欧州では売れないので、東アジア市場ばかりを見つめて作るそうなんですが、まさにアウディ・ジャパン待望のモデル第2弾です(第1弾はA3セダン)。
カオスかもしれないですが、なかなか健全な市場だったのに、230psの決定版的なクルマを持って来ることで競争原理が根本的に覆されてしまいそうです。プジョーが手を出せない余裕のスペックを誇る「2Lターボ」はVWグループのジョーカー。しかも極めつけは日本人が弱い「ハイエンドブランド」の安売り!実際に日本価格がいくらになるかわかりませんが、400万円前後で「S」が買えるなんて!という話題沸騰が確実な状況です。メルセデスが「AMG」を600万円台で売り出し、BMWも「M」チューン(M135iなど)を500万円台で出すなど、最近のドイツブランドの定番の販売戦略です。
今やメルセデスもBMWもアウディもブランド価値はだいぶ低く収まっていて、新型発売と同時に笑えるくらいに安い「新古車」が続出して、当然ながら中古車の値崩れが止まらないのですが、それでも「AMG」「M」「S」が付けばかなり踏みとどまるだけの威厳はまだまだあります。AMGは一旦半額まで下がるけど、そこから底堅い。2000万円が1000万円になってそこから下がりにくいのだとか・・・。そういう意味で「AMG」「M」「S」はベースブランドよりもお買い得と考える人もいます。
小型車の巨人VWの技術が詰め込まれ、ドイツプレミアムの新興勢力アウディの「S」が刻印された、「アウディS1」は多少価格が高くても注目すべきクルマですね。アウディ・ジャパンの窮状を考えると、350万円程度の大バーゲンもあるかもしれません。日本メーカーにもカタログモデルで参入してほしいですね・・・。軽く弾き飛ばされたCR-Zの仇をとるべくホンダなんかに頑張ってほしい。そしてホンダに個人的な恨みもあるであろうスズキにもスイ=スポの進化形を期待したい。マツダは新型デミオで必ず「何か」やるだろうけど・・・。
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洋服で例えます。高級な生地と職人が作る「服」のサイズが大きかろうが小さかろうがさほど価格に違いは有りません。極端な例えかもしれませんが・・どうして「日本」には、小さな高級車が無いのか不思議です。パソコンでも、技術開発のおかげでコンパクトで軽量しかも能力は過去の物とは比較にならないほど優れています。アウディS1船旅にも経済的。小さくても乗り心地が良い車で有る事を望みます。
返信削除tennis coachさんへ
返信削除コメントありがとうございます。
アウディA1は地味すぎてほぼ失敗していて、
輸入車メーカーといえども「小さい高級車」は難しいと思いますよ。
Bセグで「付加価値」を感じさせてくれるクルマは、私の知っている限りでは
シトロエンDS3くらいで、このアウディS1が2台目。
あとはマツダが準備している新型デミオが3台目になりそうです。
乗り心地もゴルフ並みには良くなってくると思います。
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