2014年1月31日金曜日

ポルシェ・ケイマン

  ポルシェもいよいよ価格相応の高級車なのだという「説得力」を持たないとなかなか売れない時代のようです。スポーツカーとラグジュアリークーペの垣根がわからなくなってきて、350psくらいの出力がラグジュアリーカーとしての価値の裏付けになっている、とんでもない状況なんですよね。それにしても2代目ケイマンはそんなカオスな市場の中で、その「ど真ん中」に横たわっています。あらゆるスポーツカーのライバルというわけではないですが、私ごときのような庶民が背伸びをして高性能スポーツカーあるいはラグジュアリークーペを買おうと考えると、不思議と本体価格773万円のケイマンS(6MT・325ps)が頭を過ります。

  「クルマで行こう」というテレビ神奈川の番組で評論家・岡崎五郎さんがBMW435iに乗ってました。3シリーズと比べて重心も低くなっている効果で、ロールが少なくフラットに曲る映像には、思わずちょっとだけ目を奪われます・・・。デザインは可もなく不可もなく・・・。もっともデザインが気に入っただけで600万円以上払うなんて可能性はゼロとはいいませんが、現実的なクルマの買い方ではない気がします。それだけに直6ターボを引き継いでいるだけで、メカニズム面での魅力に乏しい印象だったクルマの新たな一面にちょっとドキっとします。可変ダンパー付きの435iMスポで774万円・・・。ん?ケイマンSと同じだ・・・。

  もちろん4シリとケイマンではクルマとしての意味合いは大きく違います。せっかく貯めたひと財産を思い切って使ってゲットする「マイ・マシン」としての選択に於いて、シートの数などたいした問題ではなく、それよりもどれだけ自分の感性に寄り添っていて、誇りを持てるかどうかが全てですね。クルマのユーティリティ(広さ&燃費など)を追求するならば、400万円も出せば十分なクルマが買えるわけで、マツダアテンザとか日産スカイラインとか選んでおけば間違いないです。かといって4シーターは要らないのか?と言われれば、まあプラスの要素ではあるわけですけどね。

  岡崎五郎さんの435i試乗は予想以上に絶賛で、この人のミーハーそうに見せかけて芯の強い評論(絶対に直6だってさ!)のファンとしては、4シリーズを無視できなくなりながらも、頭にはなぜかケイマンSが浮かんでくるわけです。五郎さんは435iのフラットな乗り味を特に絶賛しているけど、ケイマンSと比べたらどうなのか? どちらも十分にフラットなのだからどうでもいいかな・・・。となりに彼女が乗るとするとどっちがいいのか? そもそもこれ乗ってどこに行くのか? 高級温泉旅館に停めるならどっちだ? なんて楽しい妄想が進みます。

  以前に箱根や湯河原に行くならケイマンがベストと結論したことを思い出します。有力候補のアウディTTS(694万円)は4気筒では高過ぎる気が・・・。日本の峠はやはりNAエンジンが最良の選択。よってターボ車は割引ですね。さらにスバルWRX(315万)がもっとカッコ良くなればTTSは不要かも・・・。今後はスバルの成長はそれなりに期待出来るでしょうが、2代目ケイマンの個性的魅力にはスバルのコスパも吹っ飛んでしまうくらいです。2人と荷物を積むだけのムダのないパッケージ・・・。ラゲッジルームの形状だけでこんなにワクワクさせられるのか。スバルもBMWも今のポルシェの前では不粋に過ぎます。


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↓どうやらケイマンSではないようですが、クルマの魅力はよく伝わる動画です。






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2014年1月16日木曜日

アウディTTというコンセプトは今も有効か?

  アウディブランドをデザイナーズカー・ブランドとして広く世界に広めた名車と言えば、アウディA6とアウディTTの2台。登場からはや10年が経過し、もちろんFMCも行っているのですが、どちらもドイツメーカーの伝統と言える「キープコンセプト」を遵守していて、現行モデルも10年前のインパクトのまま作られています。

  アウディTTはいよいよ3代目へと移行する準備がされているようですが、スペシャリティモデルとして未だに孤高の地位を保っていて販売も好調で大きなコンセプトの変化は無いと報じられています。ゴルフGTIをベースに小変更を施したボディを載せて既存ユーザーへの買い換え需要をとりあえずは漏らさないためのFMCであり、開発費は最小限度に留めるという意図がチラホラ見えます。

  TTGTIベースとしたれっきとしたスポーツカーです。性能面でのGTIとの違いはAWDを中心に展開していながらも、重量増を抑える軽量化が図られていることです。ただゴルフベースのスポーツカー(GTIR、シロッコなど)に共通することは、ホンダやマツダが作るスポーツカーと比べてエンジンレスポンスに乏しく、ロードスターやS2に乗っていた人からはやや物足りないという意見が多かったりします。アウトバーン巡航の為のGTIと日本のコーナリングマシンを比べることがナンセンスですが・・・。

  さてアウディTTが3代目になったということで、先代TTに乗っていた人がそのまま乗り換えるとは思えないのは私だけでしょうか? 試しに所有してみたいけど、何代も続けて乗りたいとは思わない気がします。もしこの手のクルマをずっと乗り継ぐユーザーが一定数いるのであれば、他のメーカーが黙っていないでしょう。これほどセンセーショナルなデビューを果たしたTTですが、ハッキリと確認できるフォロワーとしてはプジョーRCZくらいしか思いつきません。

  もしTTがそのままのコンセプトで何代も続くクルマになるポテンシャルを持っているならば、トヨタはすぐにカローラ(オーリス)をベースにしたスペシャリティカーを作ってレクサスから発売するはずです。トヨタの読みとしては居住性などのユーティリティを大きく犠牲にしたクルマにずっと乗り続ける人などほとんどいないと考えているのでしょう。しかしそういった量産車のタブーに敢えて飛び込んだところがTTというクルマの最大の魅力だったりするのですが・・・。

  いつの時代もそうかもしれませんが、ヒットするクルマの多くはクルマを初めて買う人に強く支持されたりします。S13シルビアやRX-8といった大ヒットスポーツカーは発売直後から試乗車も無い段階でかなりのオーダーが入ったそうです。TTもかつてはそういう要素を多分に持ったクルマでしたし、今も尚多くのビギナーだったり、ミニバンやコンパクトカーばかり乗ってきた人々にとってはとても誘惑の強いデザインかもしれません。

  乗り換え需要は見込めないけど、新規ユーザーを吸い付ける魔力があるならばブランドにとっては有益な存在。なんとも消費社会を象徴するようなクルマですね。フェラーリもポルシェも同じようなものかもしれませんが・・・。