2014年4月22日火曜日

アウディS1 せっかく盛り上がっているBセグスポーツに投下された怪物

  アウディTTとプジョーRCZの「ドッグファイト」の行方はもうどうでもいい・・・と思っている人って結構多くないですか? 4mそこそこサイズのクルマに300ps近い直4ターボ載せて600万円!とか言われても99%以上の人の感想が「アホか!?」とまあ私のブログにたまに寄せられるコメントと同じような・・・ものじゃないですか? もし仮にそれだけクルマに使えるお金が余っていたとしても「ケイマン買うわ!」と言いたくなります。

  スタート地点はどちらも400万円以下でなかなか現実的だったのですけど、どこから道を踏み外してしまったのでしょうか?日本や欧州のセレブ引退世代のイメージする購入価格がもっと高い所にあるのが原因でしょうね・・・。400万円とか現役世代に必死で尻尾振ってみても所帯を持っている人には手が出ませんし、少なくとも数年以内の結婚を考えている人も検討しないですし・・・。引退世代にも「若者が買うような価格のものはいらん!」と却下され・・・気がついたら「おひとり様」専用車のイメージが付いてしまった感もあります。

  そこで販売テコ入れの為の「セレブ向け」仕様ということで、ゴルフやプジョー308と同程度の性能のスペシャリティー仕様を諦め、過給量を増やした専用エンジンをあれこれ作るわけです。これならゴルフよりも割高の価格に見合うスポーティさでモデルの存在意義を引き立たせて、同時に内装の仕様を変更して「高級車調」に仕立てて不満を減らす工夫も見られます。メーカーにとって利益の出る客に迎合するのはともかく、価格を合理的に上げるために、出力アップ競争が巻き起こったのは予期せぬ不幸です。TT-RSの360ps&1530kg!は元々のコンセプトが完全に破綻して機能不全に陥っている気が・・・。

  そんなどん詰まりの状況を打開すべく、そして失望させられてきた現役世代に再び興味を取り戻させるクルマをアウディが作りました。もしかしたら日本価格を見てまた失望するようかもしれませんけど、とりあえずこれはいいんじゃないですか? 2Lターボ&AWDなので実燃費はハイオクで10km/L程度でしょうが、これは何とか飲み込むとして、ポイントはゴルフやポロのGTIよりもさらに軽くて軽快になると予想できるスペック。まだ日本仕様の詳細が出ていませんが、ほぼ全てがターボ車になっている欧州メーカーからの輸入車に絶対的に必要なのは「ダイエット」です。

  車体剛性を上げる溶接技術はドイツメーカーが先行していますが、軽量化技術となると立場は逆転して、優秀な日本の鉄鋼メーカーと長年のパートナーシップを持つ日本メーカーが絶対的に有利です。特にトヨタがHV車の為に築き上げた軽量化技術は凄まじいものがあって、なぜプリウスが他のメーカーのHVよりも燃費がいいかというとそのボディの以上なまでの軽さに秘密があるわけです。そしてプリウスの成功が確定してプリウス用の鋼材を大きなロットで使うようになって、価格を十分に下げてから他の車種へも同じ鋼材を使ってHVを展開するようになったと言われています。

  そしていよいよVWもMQBによって製造コストを大幅に引き下げて、より高価な軽量化素材も使える余地が多くなったことで、誕生したのがこのアウディ「S1」。ゴルフもTTも新型になって軽量化を進めているようですが、やはりMQBの恩恵で日本車並みの高級材を使うようになったようです。まあこれまでの「メタボ傾向のパワーアップ合戦」から「軽量化による軽快度アップ合戦」へと切り替わってくることで、欧州車も再び魅力を折戻すのではないかなと期待しています。


リンク
最新投稿まとめブログ

2014年4月9日水曜日

アウディTT え?新型と言っても何も変わってない・・・

  湘南・箱根方面を走っているとやたらと目にするクルマがアウディTT。あくまで普通車であるゴルフをベースに、狭いボディ積んだだけのスペシャリティカーの何が楽しいの?というやや辛辣な声もあるのですが、有無を言わせぬ抜群のデザインは間違いなくプライベートカーを所有する喜びを高めてくれます。

  ある著名なライターも言っていましたが、「クルマの速さ」だけがスポーツカーかどうかの唯一の基準というわけでなく、そのクルマが街に出て来たら一斉に注目を集めるようなスタイリングこそがスポーツカーの本質なんだそうで・・・もちろん大賛成です。そういう意味でこのアウディTTもフェラーリのように街中ではかなり注目してしまう一台です。ポルシェやマセラティのような存在感があって500万円なら確かにお買い得かもしれません。

  いよいよ3代目TTが今年は発売されるようですが、先日発表されたコンセプトカー(ほぼ完成型)は現行の2代目TTから大きな変化が見られず、まるでゴルフ6からゴルフ7へのバージョンアップを踏襲したような外観上の変化を伴わない進化になるようです。2代目が登場したのが2006年ですから8年前のデザインになるわけですが、それでもまだまだ古臭く感じることはないのはさすがアウディのイメージリーダーといったところなんでしょうけど、新しいTTの特にデザインに期待していたファンの気持ちはやや複雑。TTからデザイン取ったらただのゴルフですから・・・。

  アウディの説明によると、「ポルシェには"911"があり、VWには"ビートル"、そしてアウディには"TT"」ということのようです。この3台は「完成されたデザイン」の持つ普遍性の中で今後も存在し続け、VWグループとドイツ車にとって「大いなる遺産」として君臨する!・・・なんかめちゃくちゃカッコいい! レクサスにもこれくらいの"精神性"溢れるモデルがあってもいいかもと思ってしまいます。確かにそう言われると「TT」のデザインがとてもスピリッチュアルなものに感じられます。

  「TT」が「911」と同じような存在ということは、代を重ねるに連れて価格が上がっていき、やがてはベースモデルでも1000万円近くになっていくのでしょうか?だとしたら今の内に乗っておくべきなのかも。綺麗に保管しておけば、プレミアが付く? 確かにあんなめちゃくちゃな使い勝手の完全なる「趣味」クルマなのに、下取りは結構良さそうで中古車も状態が良いものには見事に立派な値段がついております。

  それにしてもいつも悩まされるクルマなんですよね。小さくてパワーがあるから日本の山岳路には向いていますし、まああれこれと使いこなす自信はあります。これだけ小さくて存在感を発揮するクルマは、この「TT」と「シトロエンDS3」くらいしか思いつきません。よってこのクルマに関しては「小さい」はネックではないです・・・。新型のTTS(310ps)には「可変ダンパー」が標準装備!ということはいよいよポルシェに近い存在になってきました・・・これは待ったなしで価格が跳ね上がりそうです。


「最新投稿まとめブログ」へのリンク
「アウディTTの動画」へのリンク
 

  

  

2014年3月20日木曜日

新型アウディA4は「C」と「ÎS」相手に何をする?

  結構なペースで「暴力的」な進化を遂げているプレミアムDセグ。何と言っても大衆ブランドの突き上げがきついのなんの・・・。下手なクルマを作ろうものならボコボコに批判されてブランド自体が崩壊する危険すらあります。ティアナより豪華な内装で、アテンザよりカッコいいデザインにして500万円以内で売れ!なんてメチャクチャにハードルが高いです。

  ティアナやアテンザだけでなく、インシグニア(オペル)、フュージョン/モンデオ(フォード)、クライスラー200、レガシィ、カムリ、アコード・・・。どれもプレミアムブランドにしてもいいくらいにレベルが高くなってます。B◯W3◯リーズってこの中で比べたら完全に中位以下で埋没するレベルじゃないですか・・・。このクルマよりも新しいレクサスISや今度登場するメルセデスCクラス、そしてインフィニティQ50(スカイライン)は、この中から完全に抜け出すための「絶対的な個性」を意識的に付けようとしています(いちいち語りませんが3台ともに相当にハイレベルになりました)。

  さて今年?来年?にFMCを迎えると言われるアウディA4も、いよいよ試験走行のクルマも目撃されて順調に完成しつつあるようです。現行A4は特に悪いクルマということもないのですが、やはりアウディに特別の愛情を感じているユーザーしか寄ってこない、「見るべきものが少ない」クルマだったと思います。なんか悪口みたいになっちゃってますが、500万円するクルマだとしたら当然然るべき批判です。悪くはないけど、「これだけ」の水準では買っても「(価格なりに)楽しくない」だろうというのがA4に対する率直な評価です。

  良くありがちな、「3・C・A4・IS(先代)」の4台で比べたならば、ベースグレードは極めて大衆車的なエンジンのオンパレード。これまでは各ブランドからこのクラスは「こんなもんでいい」と舐められていたわけです。そのしょっぱいエンジン同士で比較したところで、「どんぐりの背比べ」で何ら価値なんて生まれないわけですが、新型になった「IS」も「C」もエンジンには全くと言っていいほど手が加えられていないんですよね・・・。「3」も「A4」もおそらくは同じ路線を進むのが確実なので、もはやエンジンで語るのはナンセンスなクラスになってしまいました。唯一の例外といえるのがIS350でしょうか・・・。他のブランドはエンジンに拘るなら1000万円クラスのM、AMG、S/RSにしておけという明確な意思が示されています。

  なのでこのクラスにとってこれからの改良点は、どれだけ「エンジン以外」のところでポイントを稼げるのかが大事で、デザインは必須。あとは安全・快適装備をしっかり盛り込み、トータルで一体感のあるコンセプトに落とし込めるかどうかが勝負どころです。これだけやる事が多いとエンジン載せ換えてる場合じゃないな・・・。そして次期アウディA4の予想としてはエンジンはそのままでスペックも変わらず!デザインもおそらく変わらず!じゃあ何で勝負するの?「ボディを軽くする」「インターフェイス&ネット接続」「内装デザイン」・・・結構限られてしまうのです。噂される「劇的変化」なんて起こるのか?ちょっと疑問が残るところです。

  




「最新投稿まとめブログ」へのリンク

2014年3月13日木曜日

アウディA3セダン 「ジェッタ後継&新世代カローラが絶賛発売中」

  「六本木カローラ」なんていう言葉はもはやクルマオタクの暗号程度にしか通用しない言葉になっているようで、年配の人におそらく知っているだろうと使ってみると、これが見事に通用しません。誰にだって忘れたい過去があるのかもしれません。それになによりそんな言葉は幻であって、昔(E36)も今(F30)も六本木界隈に出没したら失笑しか買わないクルマだと、とある偉い評論家が歯に衣着せぬ口調で吐き捨てていました。昔も今も「イオンモール・カローラ」でしかなかったようです・・・ってそれじゃあ本物のカローラと何も変わらないですね。

  あたらしい「〇〇カローラ」になりそうなクルマをいよいよアウディが日本に上陸させました。「アウディA3セダン」はゴルフ系統のクルマで久々の3BOXスタイル。カスタムベース車として熱い支持を得ていたジェッタがラインナップ落ちしていたので、割とお手軽に抑えられた価格と相まって再びアウディが脚光を浴びる起爆剤になりそうなモデルです。トヨタ86よりもアウディA3セダンをカスタマイズしたほうが奥が深そう!とかいう御仁も現れそうな勢いで、さすがはVW!トヨタの弱点をよく分析しています。

  やはりプレミアムブランドのクルマというのは熱いテンションとともにクルマが売れていくと思うので、高級車イメージに程遠いハッチバックではいまいち火がつかないですよね。メルセデスもやはりAクラスより断然にCLAの人気が高いみたいですし、BMWにも1シリーズセダン作って新たな「〇〇カローラ」に名乗りを挙げてもらいたい。

  アウディは新型TTのデザインも発表されましたが、かしこまってというか期待させておいて、「どこが変わったの?」レベルとは・・・。どこかで新しいTTは宇宙船!?ステルス戦闘機!?みたいなデザインだろうと無意識のうちに予想していた自分のマヌケさに気がついてショック受けました・・・。レクサスISが目一杯背伸びして、あのデザインで登場して、感激で心が躍った私はやはり田舎ものなんですね。さすがはVW!ここでもトヨタの「逆」を見事に突いてくる!

  アウディA3セダンも同じです。やはり「〇〇カローラ」を狙う?だけあってこだわりの地味さを発揮してます。本家カローラはもはや「ヴィッツセダン」でしかないですから、日本人のイディアとしての(良いイメージの)「カローラ」に一番近いクルマかもしれません。

  VW/アウディのカスタマイズベース車としての人気も高まりそうな予感。TTやザ・ビートルを選ぶ最大の理由が「清潔感」だと思うんですよ(未確認)。そりゃTTを極彩色に塗りたくったり、金色のホイール履かせたりすれば限りなく下品になりますけど、ちょっと弄ればすぐに「下品」になる他ブランドと違ってVW/アウディはどこか「踏みとどまる力」を宿しているように感じます。

  日本のユーザーが待望した「ジェッタ後継」&「新・〇〇カローラ」。これはアウディの新しい金鉱脈になりそうな予感がプンプンします。TTもA3セダンも「好きにカスタマイズしてくれ!」というVW版のトヨタ86的な戦略が秘密裏に進行しているようです。



「最新投稿まとめブログ」へのリンク


↓BMW4シリーズを蹴散らして、この雑誌のニューヒーローになれるのか?

2014年3月6日木曜日

アウディS1はVWグループの神髄

  果たしてアウディがこのジャンルに参戦する「大義名分」があるのだろうか? そんな思いが頭を過ります・・・。実際はそれほどには売れていないのですが、日本ではもやたらと新型車リリースが多いジャンルが「Bセグスポーツ」で、VW・PSA・ルノーが日本の引退世代に必死のアピール合戦を繰り広げています。特にグローバルでの絶不調が伝えられるPSAの新型車投入ペースは相当なもので、Bセグ担当のプジョー208の高出力モデル「GTi(200ps)」や「XY(156ps)」は欧州価格よりもかなり安く設定されていて、トヨタが限定発売したヴィッツターボ(270万円)と比べても、断然にお買い得というあり得ない状況になっています。

  プジョーは内外装も日本人好みに徹底的にリフォームした艶やかな「GTi」と「XY」で、先を行くVWポロの「GTI」と「ブルーGT」を追撃していて、価格とデザインにこだわった戦略が功を奏して互角以上の勝負に持ち込んできています。シートや剛性感、そして右ハンドルの作り方を評価すればポロを選択する訳ですけど、このクラスのクルマにとって重要なことはもっと他にあるというプジョーの言い分もよく分かります。「軽快さ」と「ワクワクするデザイン」を全く評価の対象にせず、PSA車をボロクソに言う沢村慎太朗という評論家の意見を無視すれば、ポロじゃなくて208を選びたい気分です。

  しかし世界各地でPSA殲滅作戦を遂行しているVWが、ポロが苦戦している状況をそのまま放置しておくはずもなく、PSAを徹底マークするかのように208の「GTi」「XY」の発売に合わせて、ザ・ビートルターボ(211ps)を急遽日本にも持ち込んで「ドロ沼の消耗戦」になってますね。「日産パワー」を追加したルノーも「ルーテシア・ルノースポール」をこのマニアックでカオスな市場のど真ん中に投下してきました。

  全般にレビューを見ていると、MT勢のプジョーが好評価で、DCT勢のVWとルノーは低めの評価が出ているのですが、女性ユーザーを惹き付けるのでDCTが有利という見方もあります。実際に買う側の大部分を占めるであろう引退世代は割とMTを好むし、年齢の高めの女性もまたMT愛好家が多いという説もあります。まあ分かれていることは素晴らしいことです。さらに言及するとPSAのATは未だに評判が悪いですので、MTのみの設定は極めて妥当な好判断。このクルマはBMWと共通の1.6Lターボを使います。棺桶ボディにATのみのBMWではパワー不足で良さがまったく分からないですが、1200kgの軽量ボディと6MTならば意味合いもだいぶ変わってきます。BMWミニと同じと言えば同じですけど。

  そんなこんなで欧州の「大衆」ブランドがお手軽?な価格で競っている市場に、なんだかただならぬ「成金」の匂いを漂わせて、アウディS1が今年中にも日本に導入されそうです。CG大賞を受賞したA3がゴルフの影に隠れてまったく売れず、絶不調を極める日本のアウディを救うために急遽作りました!といった感があります。こういうクルマは質実剛健な欧州では売れないので、東アジア市場ばかりを見つめて作るそうなんですが、まさにアウディ・ジャパン待望のモデル第2弾です(第1弾はA3セダン)。

  カオスかもしれないですが、なかなか健全な市場だったのに、230psの決定版的なクルマを持って来ることで競争原理が根本的に覆されてしまいそうです。プジョーが手を出せない余裕のスペックを誇る「2Lターボ」はVWグループのジョーカー。しかも極めつけは日本人が弱い「ハイエンドブランド」の安売り!実際に日本価格がいくらになるかわかりませんが、400万円前後で「S」が買えるなんて!という話題沸騰が確実な状況です。メルセデスが「AMG」を600万円台で売り出し、BMWも「M」チューン(M135iなど)を500万円台で出すなど、最近のドイツブランドの定番の販売戦略です。

  今やメルセデスもBMWもアウディもブランド価値はだいぶ低く収まっていて、新型発売と同時に笑えるくらいに安い「新古車」が続出して、当然ながら中古車の値崩れが止まらないのですが、それでも「AMG」「M」「S」が付けばかなり踏みとどまるだけの威厳はまだまだあります。AMGは一旦半額まで下がるけど、そこから底堅い。2000万円が1000万円になってそこから下がりにくいのだとか・・・。そういう意味で「AMG」「M」「S」はベースブランドよりもお買い得と考える人もいます。

  小型車の巨人VWの技術が詰め込まれ、ドイツプレミアムの新興勢力アウディの「S」が刻印された、「アウディS1」は多少価格が高くても注目すべきクルマですね。アウディ・ジャパンの窮状を考えると、350万円程度の大バーゲンもあるかもしれません。日本メーカーにもカタログモデルで参入してほしいですね・・・。軽く弾き飛ばされたCR-Zの仇をとるべくホンダなんかに頑張ってほしい。そしてホンダに個人的な恨みもあるであろうスズキにもスイ=スポの進化形を期待したい。マツダは新型デミオで必ず「何か」やるだろうけど・・・。



「最新投稿まとめブログ」へのリンク



2014年2月27日木曜日

ポルシェ911タルガ 911が理想のフォルムを獲得!

  ポルシェ911って趣味のクルマとしては高価すぎて、有名人か相当な金持ちにでもならない限りは全然現実味がないのですけど、それでもこのクルマを見た時は、頑張って稼いでいつかは乗ってやろうという気持ちになりましたね。GT-Rの時は価格にビックリで、そこそこ成功できたらご褒美で乗ろうくらいでしたし、アウディR8は正直言ってそこまで欲しいとは思わなかった・・・。911も現行の991になって内装の質感が一気に上がり、リアのデザインもとても良くなったのですが、これを買うために頑張ろうという気は起きなかったですね。

  開放感があるオープンルーフの形状も各社いろいろ改良を重ねていて、これからますますオシャレな形状のものが出てくると思いますが、どれだけ隙のないデザインにするかが案外難しいようです。雨の多い日本では、開けても閉めてもカッコいいクルマがいいですよね。しかも屋外の保管となるとハードトップがベター。これが案外難しくて、マツダロードスターRHT、Z4、SLKなんかは、開いている分には優雅ですが、閉めるとイマイチなんですよね。その点で一番よく頑張っているのが、旧3シリーズクーペで新しく4シリーズにも設定されるカブリオレで、開けても閉めても期待通りのスタイリングです。ただし4シリーズ本来の後部座席のスペースやトランク容量はかなり制限されてしまいますが。

  ボクスター、ザ・ビートル、ゴルフ、マツダロードスター、フェアレディZ、ミニクーパーS・・・他にもあるかもしれませんが、これらソフトトップモデルのルーフユニットは同じ部品メーカーが供給しているのか?と思うくらい似ていて個性がないなと思います。いずれもコストパフォーマンスに優れたクルマなのであまりウルサイことを言うのはどうかと思いますが、やはり趣味のクルマならばできれば他の車種と共通の部品は減らしてほしいかな・・・。

  911カブリオレは価格の割にデザイン上の配慮が希薄で、特に日本では人気になるわけないと思います。同価格帯のオープンでポルシェにこだわらなければ、SLやジャガーFタイプの方がデザインは断然に洗練されています。997も991もかなりの頻度で見かけるのですが、カブリオレは相当にレアで見た記憶がないくらいなのでやはり敬遠されているのでしょう。ポルシェとしもカブリオレの不人気を承知した上で、それを挽回すべくデザインを頑張った結果に出した結論が911タルガの復活といったところでしょうか。

  太いシルバーのBピラーが追加されただけで、カブリオレとはイメージが大きく変わるわけですが、何より車体後方に力強さを感じるられるのがポイント。これまでのポルシェのデザインの大きな弱点はリアデザインにグラマラスさがないことで、これは他のドイツブランドにもある程度は共通した特徴な気がします。特に水冷式になって大型化した996以降の911にとってはここのデザインは生命線といってもいいくらいです。個人的な趣味で恐縮ですが、ホンダ初代NSXや日産GT-Rはこのポイントを巧みに押さえていて普遍的な美しさのリアを備えています。

  このBピラーはルーフ収納時に可動するバーなので車体剛性にはあまり寄与しないようです。それでもあれだけの幅を与えたのはデザインを考えてのことでしょう。そしてなによりポルシェの強烈なこだわりが見られるのは、このタルガを全てAWDモデルにしたことです。リトラクタブルハードトップを採用することで、かなりの重量があるルーフの位置が変化するので、車重のバランスが無視できない範囲で動くようで、どちらの状態でもトラクションが安定して、高いパフォーマンスを発揮しつつ安全に走行できる配慮がされているのにはポルシェのプライドを感じます。しかしその結果1500万円という価格になってはいますが・・・。それでもやはりというべきか、予約を開始した日本での人気は相当のようです。

  
「ポルシェ911タルガの動画」へのリンク


「最新投稿まとめブログ」へのリンク

  

  

2014年2月18日火曜日

アウディというブランドの落とし所は意外とA3辺りなのかも。

  アウディというブランドは特殊だなといつも思います。次々とラインナップを増やしているけど、どのモデルにも一定数のお客が付いているというのはどうやら違うようです。A1、A3、A4の3車種については、簡単に言ってしまえば他のブランドのクルマと大差はないです。クルマの本質はプリウスをブラッシュアップしてプレミアム化したレクサスCTみたいなものと言えます。クルマの個性というより、アウディのパッケージにお金を払っているイメージが強いでしょうか。これはボトムグレードのメルセデス、BMW、レクサスも同じですが・・・。

  ここから上のクラスのクルマに関しては、プレミアムブランドのライバルを見据えてアウディが独自に設計されています。そのスペックはしばしばアウディ固有の数字へと変わり、ある点ではライバルを上回り、また別の点では遅れをとるといった「好みの差」が大きくなっていきます。一世を風靡したアウディのグリルを中心としたシンプルさで魅せるデザインは、とても普遍性が高くA1からA8まであらゆるボディの大きさにもかかわらず、全体のシルエットによく合っています。トヨタがクラウン専用のグリルすらまともに仕上げられないのに比べると、デザイナー・ブランドとしてのアウディの実力には疑いの余地はないです。

  アウディは先行するメルセデス、BMWを追って1990年代にラインナップを拡充しました。EセグやFセグのセダン製造から発展したMBやBMWと違って、アウディは現在のA4に連なるDセグセダンからラインナップを増やしていきました。ゆえに後から登場してきたA7やA8といったフルサイズ級のクルマは、どこか収まりが悪いと感じてしまいます。ホイールベースが伸びれば伸びるほど、FFベースのアウディはトレッドを拡げる必要があるので車幅が大きくなってしまいます。A7やA8のクラスになると、もはや車幅の自由が利かなくなっていて、クルマのコンセプトをまとめるのに相当苦心した痕が伺えます。

  フルサイズセダンとなると、やはりメルセデスやBMWが採用するFRの方が断然に設計の自由度が高く、アウディのようなFFベース車では十分に対抗できません。サイズが大きくなればなるほど、アウディにとっては不利になるという結論でいいと思います。よってアウディにとっての理想のサイズは、実際のところはA3からA6辺りまでの中型車になります。さらにその中で最良のものを選ぶとなると、結局はCセグのA3が一番支持を集めるでしょうか、Cセグならば間違いなくFFが正義です。そしてA4とA5のDセグもFRよりFFの範疇になっているといっていいでしょう。

  A6のEセグは最近になってマツダアテンザがFF車としてこのクラスに殴り込みを掛け健闘中であり、今後スバルレガシィもこのクラスに昇格し、この2台よりも高級路線のホンダレジェンドが新たに参入した段階ではFFがFRを圧倒する予感がします。このクラスならばFFベースでも車幅を1840~1880mm程度に抑えることができるので、日本の道路でもなんとか活用できます。そして車幅の問題さえクリアになれば、FF車が優位に立つ直進安定性などクルーズサルーンに必須な性能面でFR車を上回ります。

  今年はいよいよアウディA4がFMCを迎えるそうですが、まもなく登場する新型Cクラスの軽量化やエアサスといった「飛び道具」に負けない魅力を付加することができれば、このクラスの趨勢から見て優勢に立つ事ができるはずです。A4の最大の弱点は、最量販クラスという「大量生産モデル」然とした佇まいに、いまいち所有欲が出ないことです。もちろんそのためにA5といった派生モデルがあるのですが、「スポーティ」に仕上げないと「ハイクオリティ」を感じられないブランドイメージもアウディの特色でしょうか。

  まるで商用車といってもいいくらいのA4に対して、A3やA5は「スポーティ」さでブランディングがされています。これは同じFFブランドのマツダやスバルもこれまでは同じ傾向がありました。しかし両者は正統派セダンを作って正面突破を図るという方法を選択して、アテンザやレガシィB4で新しいブランド価値を切り開こうとしています。アウディもA4やA6を再びシーンのど真ん中に復帰させるような、デザイナーブランドとしての仕掛けをぜひ見せてほしいなと思います。


「最新投稿まとめブログ」へのリンク
  

  

  

2014年1月31日金曜日

ポルシェ・ケイマン

  ポルシェもいよいよ価格相応の高級車なのだという「説得力」を持たないとなかなか売れない時代のようです。スポーツカーとラグジュアリークーペの垣根がわからなくなってきて、350psくらいの出力がラグジュアリーカーとしての価値の裏付けになっている、とんでもない状況なんですよね。それにしても2代目ケイマンはそんなカオスな市場の中で、その「ど真ん中」に横たわっています。あらゆるスポーツカーのライバルというわけではないですが、私ごときのような庶民が背伸びをして高性能スポーツカーあるいはラグジュアリークーペを買おうと考えると、不思議と本体価格773万円のケイマンS(6MT・325ps)が頭を過ります。

  「クルマで行こう」というテレビ神奈川の番組で評論家・岡崎五郎さんがBMW435iに乗ってました。3シリーズと比べて重心も低くなっている効果で、ロールが少なくフラットに曲る映像には、思わずちょっとだけ目を奪われます・・・。デザインは可もなく不可もなく・・・。もっともデザインが気に入っただけで600万円以上払うなんて可能性はゼロとはいいませんが、現実的なクルマの買い方ではない気がします。それだけに直6ターボを引き継いでいるだけで、メカニズム面での魅力に乏しい印象だったクルマの新たな一面にちょっとドキっとします。可変ダンパー付きの435iMスポで774万円・・・。ん?ケイマンSと同じだ・・・。

  もちろん4シリとケイマンではクルマとしての意味合いは大きく違います。せっかく貯めたひと財産を思い切って使ってゲットする「マイ・マシン」としての選択に於いて、シートの数などたいした問題ではなく、それよりもどれだけ自分の感性に寄り添っていて、誇りを持てるかどうかが全てですね。クルマのユーティリティ(広さ&燃費など)を追求するならば、400万円も出せば十分なクルマが買えるわけで、マツダアテンザとか日産スカイラインとか選んでおけば間違いないです。かといって4シーターは要らないのか?と言われれば、まあプラスの要素ではあるわけですけどね。

  岡崎五郎さんの435i試乗は予想以上に絶賛で、この人のミーハーそうに見せかけて芯の強い評論(絶対に直6だってさ!)のファンとしては、4シリーズを無視できなくなりながらも、頭にはなぜかケイマンSが浮かんでくるわけです。五郎さんは435iのフラットな乗り味を特に絶賛しているけど、ケイマンSと比べたらどうなのか? どちらも十分にフラットなのだからどうでもいいかな・・・。となりに彼女が乗るとするとどっちがいいのか? そもそもこれ乗ってどこに行くのか? 高級温泉旅館に停めるならどっちだ? なんて楽しい妄想が進みます。

  以前に箱根や湯河原に行くならケイマンがベストと結論したことを思い出します。有力候補のアウディTTS(694万円)は4気筒では高過ぎる気が・・・。日本の峠はやはりNAエンジンが最良の選択。よってターボ車は割引ですね。さらにスバルWRX(315万)がもっとカッコ良くなればTTSは不要かも・・・。今後はスバルの成長はそれなりに期待出来るでしょうが、2代目ケイマンの個性的魅力にはスバルのコスパも吹っ飛んでしまうくらいです。2人と荷物を積むだけのムダのないパッケージ・・・。ラゲッジルームの形状だけでこんなにワクワクさせられるのか。スバルもBMWも今のポルシェの前では不粋に過ぎます。


「最新投稿まとめブログ」へのリンク
  

↓どうやらケイマンSではないようですが、クルマの魅力はよく伝わる動画です。






「最新投稿まとめブログ」へのリンクです。

2014年1月16日木曜日

アウディTTというコンセプトは今も有効か?

  アウディブランドをデザイナーズカー・ブランドとして広く世界に広めた名車と言えば、アウディA6とアウディTTの2台。登場からはや10年が経過し、もちろんFMCも行っているのですが、どちらもドイツメーカーの伝統と言える「キープコンセプト」を遵守していて、現行モデルも10年前のインパクトのまま作られています。

  アウディTTはいよいよ3代目へと移行する準備がされているようですが、スペシャリティモデルとして未だに孤高の地位を保っていて販売も好調で大きなコンセプトの変化は無いと報じられています。ゴルフGTIをベースに小変更を施したボディを載せて既存ユーザーへの買い換え需要をとりあえずは漏らさないためのFMCであり、開発費は最小限度に留めるという意図がチラホラ見えます。

  TTGTIベースとしたれっきとしたスポーツカーです。性能面でのGTIとの違いはAWDを中心に展開していながらも、重量増を抑える軽量化が図られていることです。ただゴルフベースのスポーツカー(GTIR、シロッコなど)に共通することは、ホンダやマツダが作るスポーツカーと比べてエンジンレスポンスに乏しく、ロードスターやS2に乗っていた人からはやや物足りないという意見が多かったりします。アウトバーン巡航の為のGTIと日本のコーナリングマシンを比べることがナンセンスですが・・・。

  さてアウディTTが3代目になったということで、先代TTに乗っていた人がそのまま乗り換えるとは思えないのは私だけでしょうか? 試しに所有してみたいけど、何代も続けて乗りたいとは思わない気がします。もしこの手のクルマをずっと乗り継ぐユーザーが一定数いるのであれば、他のメーカーが黙っていないでしょう。これほどセンセーショナルなデビューを果たしたTTですが、ハッキリと確認できるフォロワーとしてはプジョーRCZくらいしか思いつきません。

  もしTTがそのままのコンセプトで何代も続くクルマになるポテンシャルを持っているならば、トヨタはすぐにカローラ(オーリス)をベースにしたスペシャリティカーを作ってレクサスから発売するはずです。トヨタの読みとしては居住性などのユーティリティを大きく犠牲にしたクルマにずっと乗り続ける人などほとんどいないと考えているのでしょう。しかしそういった量産車のタブーに敢えて飛び込んだところがTTというクルマの最大の魅力だったりするのですが・・・。

  いつの時代もそうかもしれませんが、ヒットするクルマの多くはクルマを初めて買う人に強く支持されたりします。S13シルビアやRX-8といった大ヒットスポーツカーは発売直後から試乗車も無い段階でかなりのオーダーが入ったそうです。TTもかつてはそういう要素を多分に持ったクルマでしたし、今も尚多くのビギナーだったり、ミニバンやコンパクトカーばかり乗ってきた人々にとってはとても誘惑の強いデザインかもしれません。

  乗り換え需要は見込めないけど、新規ユーザーを吸い付ける魔力があるならばブランドにとっては有益な存在。なんとも消費社会を象徴するようなクルマですね。フェラーリもポルシェも同じようなものかもしれませんが・・・。