アウディブランドをデザイナーズカー・ブランドとして広く世界に広めた名車と言えば、アウディA6とアウディTTの2台。登場からはや10年が経過し、もちろんFMCも行っているのですが、どちらもドイツメーカーの伝統と言える「キープコンセプト」を遵守していて、現行モデルも10年前のインパクトのまま作られています。
アウディTTはいよいよ3代目へと移行する準備がされているようですが、スペシャリティモデルとして未だに孤高の地位を保っていて販売も好調で大きなコンセプトの変化は無いと報じられています。ゴルフGTIをベースに小変更を施したボディを載せて既存ユーザーへの買い換え需要をとりあえずは漏らさないためのFMCであり、開発費は最小限度に留めるという意図がチラホラ見えます。
TTはGTIベースとしたれっきとしたスポーツカーです。性能面でのGTIとの違いはAWDを中心に展開していながらも、重量増を抑える軽量化が図られていることです。ただゴルフベースのスポーツカー(GTI、R、シロッコなど)に共通することは、ホンダやマツダが作るスポーツカーと比べてエンジンレスポンスに乏しく、ロードスターやS2に乗っていた人からはやや物足りないという意見が多かったりします。アウトバーン巡航の為のGTIと日本のコーナリングマシンを比べることがナンセンスですが・・・。
さてアウディTTが3代目になったということで、先代TTに乗っていた人がそのまま乗り換えるとは思えないのは私だけでしょうか? 試しに所有してみたいけど、何代も続けて乗りたいとは思わない気がします。もしこの手のクルマをずっと乗り継ぐユーザーが一定数いるのであれば、他のメーカーが黙っていないでしょう。これほどセンセーショナルなデビューを果たしたTTですが、ハッキリと確認できるフォロワーとしてはプジョーRCZくらいしか思いつきません。
もしTTがそのままのコンセプトで何代も続くクルマになるポテンシャルを持っているならば、トヨタはすぐにカローラ(オーリス)をベースにしたスペシャリティカーを作ってレクサスから発売するはずです。トヨタの読みとしては居住性などのユーティリティを大きく犠牲にしたクルマにずっと乗り続ける人などほとんどいないと考えているのでしょう。しかしそういった量産車のタブーに敢えて飛び込んだところがTTというクルマの最大の魅力だったりするのですが・・・。
いつの時代もそうかもしれませんが、ヒットするクルマの多くはクルマを初めて買う人に強く支持されたりします。S13シルビアやRX-8といった大ヒットスポーツカーは発売直後から試乗車も無い段階でかなりのオーダーが入ったそうです。TTもかつてはそういう要素を多分に持ったクルマでしたし、今も尚多くのビギナーだったり、ミニバンやコンパクトカーばかり乗ってきた人々にとってはとても誘惑の強いデザインかもしれません。
乗り換え需要は見込めないけど、新規ユーザーを吸い付ける魔力があるならばブランドにとっては有益な存在。なんとも消費社会を象徴するようなクルマですね。フェラーリもポルシェも同じようなものかもしれませんが・・・。
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